予定される主なキャスト |
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ヨンフン・リー (ドン・カルロ) Yonghoon Lee |
アレクセイ・マルコフ (ロドリーゴ) Alexey Markov |
フェルッチョ・フルラネット (フィリッポ2世) Ferruccio Furlanetto |
ミハイル・ペトレンコ (宗教裁判長) Mikhail Petrenko |
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ヴィクトリア・ヤストレボヴァ(10/10) (エリザベッタ) Victoria Yastrebova |
イリーナ・チュリロワ(10/12) (エリザベッタ) Irina Churilova |
ユリア・マトーチュキナ (エボリ公女) Yulia Matochkina |
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※キャストは変更になる場合がございます。最終的な出演者は当日発表となります。 |
カリスマのもとに千両役者が揃い踏み! ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場《ドン・カルロ》への期待 |
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ヴェルディの《ドン・カルロ》は、大劇場の主要レパートリーとして揺るぎのない地位を占めている大傑作だ。16世紀のスペイン宮廷を舞台に繰り広げられる壮大な歴史絵巻には、愛から政治、宗教まで、人の世の葛藤という葛藤が、切り立った美しい崖のような音楽で刻み込まれ、聖堂の大伽藍のように圧倒的に迫ってくる。 《ドン・カルロ》の大きな魅力は、多彩な人間群像にもある。なかでも国王フィリッポ2世(スペイン名フェリペ2世)は深みのある人物だ。歴史上ではプロテスタントを弾圧した君主として悪名高いが、オペラでは冷酷な反面、人間的な弱さをさらけ出す共感出来る人物として描かれる。名アリア〈ひとり寂しく眠ろう〉は、権力者のそして夫としての底なしの孤独を訴える名曲中の名曲。オペラの要の役柄とされるゆえんだ。 このたび、5年ぶりに待望の来日を果たすマリインスキー・オペラが上演する《ドン・カルロ》は、フィリッポ役にフェルッチョ・フルラネットを迎える豪華版。イタリアが誇る名バスであるフルラネットは、若い頃からカラヤンなどそうそうたる指揮者のもとで本役を歌い込んでおり、彼の代名詞的な役柄になっている。 |
君主の仮面と人としての悩み苦しみを彫琢のある美声で表現するフルラネットのフィリッポは、時とともに深くなり円熟味を増し、いまや最高潮を迎えているといっても過言ではない。近年世界各地で共演を重ねているゲルギエフとのコンビも楽しみだ。 他の歌手たちも精鋭ぞろい。タイトルロールのヨンフン・リーは、世界の大劇場でこの難役を歌って絶賛されているカルロ歌い。ロドリーゴ役のアレクセイ・マルコフや、宗教裁判長役のミハイル・ペトレンコは、マリインスキーから世界へ羽ばたき、今や世界の一流歌劇場からひっぱりだこのスター歌手だ。女声2人もマリインスキー出身の逸材。今のオペラ界でマリインスキー歌劇場の存在がいかに大きいかを見せつけてくれるキャスティングだ。イタリア人ならではの美感が光るコルセッティの演出も、オペラファンを満足させてくれるだろう。 ベテランから若手までえりすぐりの歌手たちが、推進力と情熱にあふれたゲルギエフの指揮のもと、ヴェルディの不朽の名作に新しい生命を吹き込む。その化学変化を目撃する瞬間が、今から待ち遠しくてたまらない。 加藤 浩子(音楽評論家) |
≪あらすじ聴きどころ≫ | |
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第1幕 |
宗教裁判長に強いられたフィリッポは、わが子カルロを死刑とする。エリザベッタは自分の宝石箱が盗まれたと騒ぎ、刑を阻止するが、フィリッポが開けた宝石箱にはカルロの肖像画が…二人の関係が明らかになる。エボリ公女は宝石箱を盗んだことを懺悔し、修道院入りを誓う(アリア<呪われし美貌>)。ロドリーゴはカルロを訪ねるが、反逆の罪で撃たれる(ロドリーゴの死)。 第4幕 サン・ジュスト修道院。エリザベッタは自分の身の上を悲しむ(アリア<世の虚しさを知る神よ>)。エリザベッタとカルロは最後のひと時を過ごす(別れの二重唱)。宗教裁判長とフィリッポが二人を捕まえようとすると先祖の霊が現れ、カルロを墓の中に引き入れる。 |